伊勢神宮の遷宮費用

 日本の戦後復興期の最中となる1953年10月、伊勢神宮は第59回遷宮を実施した。
この遷宮費用には戦前に支給された国費と民間から集まった寄付の両方が使われている。
つまり伊勢神宮は宗教法人として新しい道を歩み出していたものの、国に助けられた部分があった。
しかし、これ以降は1円たりとも国に頼る事は出来ない。
遷宮資金の確保は全て伊勢神宮でなんとかしなければならないのだ。
ひょっとすると第60回目の遷宮こそが、伊勢神宮では正念場となっていたのだろうか。

 第59回遷宮の資金確保の為、戦後に設立された民間団体は、見事にその役目を成し遂げた。
その後も財団法人として活動が今日まで引き継がれている。
こうした伊勢神宮を支える人々の活躍により、第60回以降も20年毎に遷宮が実施された。
第60回は1973年、第61回は1993年。
内宮が10月2日、下宮が10月5日。

 そして2013年、第62回遷宮が行われたばかりである。
伊勢神宮によると、第62回の費用は約550億円。
参考までではあるが、大阪にある世界的なテーマパークの新施設建設費は450億円。
2014年夏公開の新施設は、同社史上最大の投資であると注目を集めている。
比較すると、如何に伊勢神宮の遷宮にはお金がかかるかと、改めて実感できるかもしれない。

天武天皇が伊勢神宮の遷宮を発案したのは685年。
その妻である持統天皇が遷宮を実施したのは内宮が690年、外宮が692年。
一時中断こそあったものの、これだけお金がかかる神事が実に1300年もの間、続けられているのだ。
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カテゴリー: 伊勢神宮, 日本神話を創った昔の人々の物語 タグ: パーマリンク
2014/7/3